天才は深夜語りでつくられる。

the perfect world of prince.

ぼくたちの"マイフェイバリット"に関する考察

 
ぼくは古来からアニメを嗜む人間であり、これまでに沢山の作品たちとの出会い、そして別れを繰り返してきました。
 
楽しかった思い出として残り続け、何度でも会いたくなる「面白い作品たち」の影には、記憶の片隅に居たはずなのに、どこへ行ってしまったのか分からなくなり疎遠になってしまうような、「つまらなかった作品たち」がいます。
 
そうやって数々の物語の破片を手にした時、ふと思い返してみてください。
面白い作品、つまらない作品とは別に「お気に入りの作品」というアーカイブが自分の中に出来ていませんか。
好きな筈なのに、何が面白いのか、どこが他の作品との違いなのかと問われた時にサッと答えられなかったり、面白い作品を教えてくれと問われた時になんだかオススメできなかったりする作品が。
 
人が面白いという理由以外に作品を気に入る要因は様々だと思います。
たとえばキャラクターが好きだとか、たとえば雰囲気が好きだとか、たとえば製作陣や出演者が好きだとか。
 
けれどもそんな中、特別な理由が思いつかないけど好きな作品があると思います。
何故そういった「お気に入りの作品」が生まれるのでしょうか。
 
もちろん、どこかに理由があるはずです。
 
今回はそういった作品について少し考えてみましょう。
 
 
 
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それでは、「理由は分からないけれどなんとなく好きな作品」をいくつか頭に思い浮かべてください。
 
思い浮かべたら、まずは、それぞれのオープニングを思い返してみてください。
 
どうですか。思い出せましたか。
オープニングについては、良かったものもあれば、興味をもてなかったものや思い出せないものなんかもあると思います。
 
では次に、エンディングを思い出してみてください。
 
すぐに思い出せますよね。
エンディングを思い返してみると、何度も見たり聞いたりしたくなるようなものばかりではないですか。
 
ぼくは、なんとなく好きな作品の「なんとなく」の理由はそこにあると考えています。
 
つまり、アニメのエンディングは、人が作品に対して抱かせる好感に非常に強く影響しているのです。
 
もっと言えばエンディングは作品に対する好感度を底上げする力があり、最後を盛り上げて興奮や感動を与える事で虚無の塊のような作品を、まるで傑作かのように錯覚させてしまうとまで考えています。
 
もちろんオープニングにも力はあります。
しかしそれは作品を見るモチベーションを高める力であって、アニメ全体の印象にはほとんど影響しません。
 
まさに、「終わり良ければすべて良し」ですね。
 
 
 
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「終わり良ければすべて良し」ということわざは日本人ならば誰しも一度は耳にしたことがあるかと思います。
 
「古くから使われ続けているこの言葉が日本人のDNAに深く刻み込まれているのである」
というと大げさではありますが、心理学的にはある程度正しいと言われています。
 
その名も「ピーク・エンドの法則」。
 
そこそこ有名なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
 
ピーク・エンドの法則とはあらゆる経験の快苦の記憶は、その出来事の中で最高の印象(ピーク時)と最後の印象(終了時)の快苦の度合いで決まるという法則です。
 
少し分かりにくいと思うので提唱者であるダニエル・カーネマンが実際に行ったという実験で説明します。
 
 
①死ぬほど冷たい水に60秒間手を浸す。
 
②死ぬほど冷たい水に90秒間手を浸す。ただし、最後の30秒間は水は依然として冷たいものの徐々に温度が上昇する。
 
①と②のどちらかを選べといわれた時、当然誰しもが①を選択すると思います。
勿論ぼくもそうです。
しかし、実際に両方を経験してもらった後に、どちらならもう一度経験してもよいかと聞くと、ほとんどの人が②を選ぶのだそうです。
 
このように、人は心理的に経験を「合計」ではなく「平均」で知覚するため、冷たい水に長らく手を浸していたにも関わらず最後に温かい水に浸した記憶がより強く残り、②を選ぶのです。
 
これと同様にぼくらはエンディングを気に入った作品を知らず知らずの内にお気に入りのアニメにしてしまっていたんですね。
 
 
 
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最後に皆さんにぼくから、アニメ2016ベストエンディング・オブ・ザ・イヤーをご報告いたします。
 
まだ2016年は終わってないですが、どう足掻いても1位が確定しているスーパークールにパーフェクトなエンディングなんで問題ないでしょう。
 
 
 

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2016年冬アニメで放送されたアニメで原作は乙女ゲームなのですが、ストライドという例えるなら障害物リレーのような架空のスポーツでの勝負に重きを置いた正統派スポ魂アニメです。
 

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スポ魂です。 
 
 
エンディングを歌っているのは主人公達のライバル校である西星学園のアイドルグループ「ギャラクシー・スタンダード」で曲名は「Be My Steady」。
 
常人の方々は若干前のめり気味なパワーセンテンスに困惑し、脳内はクエスチョンマークに犯されていると思いますが真剣(マジ)です。
 
爽やかなスポ魂アニメから生み出されたエンディングとは思えない、あまりにもお洒落かつ煌びやかな演出・曲調にぼくは一瞬で夢中になりCDを3枚買いました。
 
冗談抜きにカッコよくて心が震えるんでエンディングだけでも是非見てください。
 
ここに書くと内容カラッポでエンディングだけの「なんとなくシリーズ」と勘違いされそうですが、キャラクターも内容もぼくは大好きです。
なのでエンディングに興味を持ったら本編も見ましょう。
 
ちなみに瀟洒なエンディングを視聴できるのは2話からですので、2話まではしっかり見てくださいね。
 
ぼくの仮説が正しければ、もし内容に興味が持てなかったとしても、このアニメは皆さんの"お気に入りの作品 "になってくれると思います。
 
みなさんのプリスト語りがTL上で花咲くそのときを、ぼくは待っています。
 
 
 
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ちなみに今回書いたことはあくまでぼくの推測です。
 
賢明なみなさんの事なのでもちろん理解しているとは思いますが、ドヤ顔で誰かに語ると間違っていた時に恥ずかしいので絶対にやめましょう。